知っておきたい高度先進医療制度について

高度先進医療制度ができる以前は、もともと先進医療と高度医療のカテゴリに分けて運用されていた。それが高度先進医療として1つになったのは、2012年以降だ。このとき、先進医療に分類されていたもののうち、有効性が確認されていないものの多くが高度先進医療に組み入れられた。

ある治療が医療現場で実際に行われるためには、その治療が安全であるかどうか、妥当であるかどうかなどが時間をかけて、慎重に臨床試験で検証される。高度先進医療を認定する際も、専門家が中心となって治療の安全性などを審査する。そして、数字やデータの有効性が確認され、副作用などの問題もクリアできれば高度先進医療として認定され、医療現場での運用が始まるのだ。

患者として高度先進医療を利用するとき、注意しなくてはならない点が2つある。それは、この高度先進医療制度には病気を治療する目的とは別に、臨床試験を行う目的もあるということだ。そのため、純粋に治療だけをして欲しい人であっても、治療を通じて臨床試験に参加せざるを得ない場合もある。病気の種類によってはまだ研究段階であり、治療を受けることがイコール試験参加を認めることもしばしばあるのが現状だ。

もう1つは、入院費の一部などを除いて公的医療保険がきかないことだろう。現在の保険制度では、保険での治療と保険適用外の自由診療を組み合わせる混合診療が認められていない。以上のことについては、高度先進医療を受ける場合にはぜひ頭に入れておきたいポイントだろう。